消し炭(けしずみ)・ご利益と五山送り火・大文字
消し炭・ご利益と五山送り火・大文字
五山送り火では五山(大文字・妙法・船形・左大文字・鳥居形)によって異なるが、薪・松葉・麦わらや護摩木が燃やされます。その消し炭にはご利益があると言われています。消し炭を半紙にくるんで、水引でくくり、戸口などに飾ると厄除けのご利益があるとも言われています。
【五山送り火2025 日程】
五山送り火2025は2025年(令和7年)8月16日(土曜日)20:00から5分間隔で順次点火されます。なお五山送り火は原則雨天決行だが、気象条件によって点火時間が変更になる場合もあります。
五山送り火2025
【五山送り火 歴史・簡単概要】
五山送り火(ござんのおくりび)はお盆(おぼん・盂蘭盆(うらぼん))にあの世(冥府(めいふ))から帰ってきたお精霊さん(おしょらいさん)をあの世に送り返す仏教的行事です。五山送り火は宗教・歴史的な背景から「大文字の送り火」とも言われることがあります。五山送り火はいつ始まったかは明確ではありません。一説には多くの灯明を灯して仏神を供養する万灯会(まんどうえ)が山の山腹で行われるようになり、お盆の精霊の送り火(門火(かどび))になったとも言われています。
【消し炭(けしずみ)とご利益(ごりやく)】
五山送り火では五山(大文字・妙法・舟形・左大文字・鳥居形)によって異なるが、薪(割り木)・松葉・麦わらや奉納された護摩木が燃やされます。その消し炭(燃えかす)にはご利益があると言われています。消し炭を半紙にくるんで、水引でくくり、戸口などに飾ると厄除け・無病息災のご利益があるとも言われています。京都の郷土史家・田中緑紅が1957年(昭和32年)に刊行した「京の送火」には消し炭に疫病除け・中風のまじないなどのご利益があると記されています。更に消し炭には戸口に飾ると泥棒除けになり、お腹にのせると腹痛がよくなり、削って飲むと虫下しになるとの言い伝えも残されています。ちなみに江戸時代には消し炭は民間療法として胃腸薬に使われていたそうです。8月16日に行われている五山送り火の翌17日に火床に残された消し炭を求め、五山に登る方がいるが、大文字(如意ヶ嶽)以外の四山(妙法(西山と東山)・舟形(船山)・左大文字(左大文字山)・鳥居形(曼陀羅山))は原則、入山禁止になっています。(要確認)なお大文字では護摩木に自分の名前と病名を書き、火床で燃やされると病気が平癒するとも言われているそうです。
●大文字では火床に薪600束・松葉100束・麦わら100束が使われるそうです。
●如法では火床に薪332束・松葉166束(初期点火用)が使われるそうです。
●船形では火床に薪500束・松葉130束が使われるそうです。
●左大文字では火床には薪300束・護摩木5,000本が使われるそうです。
●鳥居形では火床に薪108束が使われるそうです。
【大文字(だいもんじ)】
大文字では8月16日の五山送り火で、薪(割り木)600束・松葉100束・麦わら100束が燃やされます。薪600束には樹齢50年以上のアカマツ(赤松)の巨木が10~20本も必要になるそうです。大文字保存会では点火に必要なアカマツを面積約12万坪の大文字山の雑木林(文字保存会の共有林)で1年中探し、適当なアカマツが見付かると例年2月頃から伐採を開始するそうです。ただ大文字保存会では山仕事の経験者が少なくなり、アカマツの伐採に業者の協力も必要になっているそうです。伐採されたアカマツは先ず長さ約50センチに切り分け、次に小割りして薪にします。薪に加工する作業は例年梅雨入り前まで行われ、その後薪は倉庫に約2年ほど保存して乾燥させ、2年後の五山送り火で使用されます。伐採直後のアカマツは含水率が高く、乾燥させないとなかなか着火しないそうです。大文字保存会では薪の準備だけでなく、麦の作付けや刈り入れ・火床の整備など1年間通して、8月16日の準備を行っているそうです。なお大文字では大文字山の維持管理に年間で数百万円も掛かっているそうです。
大文字ではアカマツ不足が深刻で、林野庁京都大阪森林管理事務所がマツクイムシ被害で銀閣寺山国有林から伐採したアカマツを格安で提供されたこともありました。ちなみに銀閣寺山国有林は大文字山北側に位置し、面積が約24ヘクタールもあります。銀閣寺山国有林は京都東山の国有林の中でも比較的多くのアカマツが残されているそうです。また大文字では2008年(平成20年)に京都府・京都モデルフォレスト協会・三井物産が必要なアカマツを育てる支援を行う協定を結びました。三井物産が右京区梅ケ畑の山林を京都モデルフォレスト協会に無償貸与し、京都モデルフォレスト協会が育成・保護などの手入れや伐採を行います。活動期間は10年間だそうです。
銀閣寺山国有林は銀閣寺(慈照寺)の背後に位置し、江戸時代まで銀閣寺の寺領だったが、明治時代初期に社寺上知令によって官有地に編入され、現在は林野庁が所管する国有林となっています。(以
【消し炭・ご利益と五山送り火・大文字 備考】
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