京都御所の見どころ簡単解説-修学旅行・観光の豆知識
京都御所の見どころは紫宸殿・清涼殿・諸大夫の間・猿が辻・庭園などです。
京都御所の見どころを個別に簡単にまとめて解説します。文化財・見どころには天皇の高御座・皇后の御帳台が安置されている紫宸殿、天皇が執務や儀式を行った清涼殿、左近の桜・右近の橘が植えられている庭園などがあります。また諸大夫の間・猿が辻等も見逃せません。なお修学旅行や観光で見るべき文化財・見どころの概要・歴史・様式・豆知識などを解説しています。
【京都御所の歴史・簡単概要】
京都御所は794年(延暦13年)の第50代・桓武天皇による平安京遷都の際、内裏に代わる臨時の里内裏・土御門東洞院殿があった場所です。平安京遷都時の内裏は千本通(朱雀大路)沿いにあったが、失火や政変による火災で度々焼失し、1227年(安貞元年)の火災ではほぼ焼失したと言われ、その後再建されることはありませんでした。京都御所は後南北朝時代(1573年~1603年)に第96代・後醍醐天皇が京都を逃れ、光厳天皇が北朝初代天皇に即位すると土御門東洞院殿が北朝の内裏に定着したのが起源です。1392年(明徳3年)の南北朝の合一以後は正式な御所になりました。
【天皇の高御座・皇后の御帳台がある紫宸殿-見どころ】
- 概要:紫宸殿(ししんでん)は修学旅行・観光で絶対に見る価値があります。紫宸殿は内裏の正殿(せいでん)で、即位礼の際に天皇が着座する正式な御座所(ござしょ)である高御座(たかみくら)、皇后の正式な御座所である御帳台(みちょうだい)が安置されています。高御座・御帳台は今上天皇(きんじょうてんのう)の即位の際、解体されて皇居の宮殿に運ばれました。紫宸殿ではかつて天皇の即位(そくい)・元服(げんぷく)・立太子(りったいし)・節会(せちえ)などの公的な最重要儀式が行われました。なお紫宸殿は南庭に左近(さこん)の桜、右近(うこん)の橘(たちばな)が植えられています。
- 歴史:紫宸殿は1855年(安政2年)に再建されたと言われています。なお紫宸殿の名称は弘仁年間(810年~824年)に第52代・嵯峨天皇(さがてんのう)が命名しました。
- 様式:紫宸殿は入母屋造(いりもやづくり)の檜皮葺(ひわだぶき)です。紫宸殿は簀子縁(すのこえん)を除き、間口約33メートル、奥行約23メートルです。
- 豆知識:紫宸殿では平安時代(794年~1185年)中期以降大極殿(だいごくでん)に代わり、儀式が行われるようになりました。
【天皇が執務や儀式を行っていた清涼殿-見どころ】
- 概要:清涼殿(せいりょうでん)は紫宸殿に次ぎ、修学旅行・観光で見る価値があります。清涼殿は紫宸殿の北西にあります。清涼殿は平安時代(794年~1185年)に天皇の居住の為の建物だったが、天正年間(1573年~1592年)に御常御殿(おつねごてん)が造営されてからは天皇の執務や儀式を行う建物になりました。清涼殿には一対の獅子(しし)狛犬(こまいぬ)が護り、天皇の休息の場だった御帳台などがありました。
- 歴史:清涼殿は1855年(安政2年)に再建されたと言われています。
- 様式:清涼殿は入母屋造の檜皮葺です。清涼殿には裏鬼門(うらきもん)に鬼の間(おにのま)があります。
【身分別に分かれていた諸大夫の間-見どころ】
- 概要:諸大夫の間(しょだいぶの)は修学旅行・観光で見逃せません。諸大夫の間は清涼殿の西にあります。諸大夫の間は身分別に分かれていました。諸大夫の間には公卿(くぎょう)の間(虎の間)・殿上人(てんじょうびと)の間(鶴の間)・諸大夫の間(桜の間)があります。虎の間・鶴の間・桜の間の名称は部屋に描かれた障壁画(しょうへきが)に由来しています。なお諸大夫の間の名称は主たる部屋・諸大夫の間に由来しています。
- 豆知識:諸大夫の間は身分別に分かれ、公卿の間は参議(さんぎ)以上の公家(くげ)が使用し、殿上人の間は諸侯(しょこう)・所司代(しょしだい)・高家(こうけ)らが使用し、諸大夫の間は諸大夫が使用しました。
【皇太子の元服などの儀式が行われた小御所-見どころ】
- 概要:小御所(こごしょ)は紫宸殿の北東にあります。小御所は皇太子(こうたいし)の元服・会議・対面などの儀式に使われた建物です。小御所には上段の間・中段の間・下段の間などがあります。
- 歴史:小御所は1954年(昭和29年)に焼失し、1958年(昭和33年)に再建されました。
- 様式:小御所は入母屋造の檜皮葺です。
- 豆知識:小御所では大政奉還(たいせいほうかん)後に江戸幕府第15代将軍・徳川慶喜(とくがわよしのぶ)の処置を決めた小御所会議が行われました。
【江戸幕府初代将軍・徳川家康が造営した御学問所-見どころ】
- 概要:御学問所(おがくもんじょ)は小御所の北にあります。御学問所は御講書始(ごこうしょはじめ)などの行事や遊興(ゆうきょう)の場に使われた建物です。御学問所には上段の間・中段の間・下段の間・菊の間・山吹(やまぶき)の間・雁(がん)の間があります。
- 歴史:御学問所は江戸幕府初代将軍・徳川家康(とくがわいえやす)によって初めて造営されました。
- 様式:御学問所は入母屋造の檜皮葺です。
【天皇居住の場である御常御殿-見どころ】
- 概要:御常御殿(おつねごてん)は御学問所の北東にあります。御常御殿は紫宸殿とともに御所内で最大の建物で、天皇の居住の為の建物です。御常御殿には上段の間・中段の間・下段の間・剣璽(けんじ)の間・御小座敷(おこざしき)上の間・御小座敷下の間・一の御間・二の御間・三の御間・次の間など15室があります。
- 様式:御常御殿は入母屋造の檜皮葺です。
【涅槃会などが行われた御三間-見どころ】
- 概要:御三間(おみま)は御常御殿の南西にあります。御三間は涅槃会(ねはんえ)・茅輪(ちのわ)・七夕(たなばた)・盂蘭盆(うらぼん)などの行事に使われた建物です。御三間には下段の間・中段の間・上段の間があります。御三間には岸誠(がんせい)が描いた襖絵「駒引図(こまひきず)」などがあります。
【孝明天皇が書見の場として造営した迎春-見どころ】
- 概要:迎春(こうしゅん)は御常御殿の北側にあります。迎春には五畳半の北の間・十畳の南の間があります。
- 歴史:迎春は第121代・孝明天皇(こうめいてんのう)が書見(勉強)の場として造営されました。
- 様式:迎春は入母屋造の檜皮葺です。
【夏場に使われた御涼所-見どころ】
- 概要:御涼所(おすずみしょ)は迎春の北側にあります。御涼所は窓を多く設け、暑い夏を快適に過ごす為の建物です。御涼所には九畳の上の間・七畳半の次の間・四畳半の裏上の間があります。
- 様式:御涼所は入母屋造の檜皮葺です。
【孝明天皇の好みで造営された聴雪-見どころ】
- 概要:聴雪(ちょうせつ)は御涼所の北側にあります。聴雪は壁がなく吹きさらしの吹抜廊下で御涼所と繋がっています。聴雪には上の間・中の間・下の間があります。
- 歴史:聴雪は1857年(安政4年)に第121代・孝明天皇の好みで造営されました。
- 様式:聴雪は寄棟造(よせむねづくり)のこけら葺(こけらぶき)です。
【皇太子の御殿である御花御殿-見どころ】
- 概要:御花御殿(おはなごてん)は御常御殿の北側にあります。御花御殿は皇太子の御殿として使われ、東宮御殿(とうぐうごてん)とも言われていました。御花御殿には北の間・上の間・西北の間・西の間などがあります。
- 様式:御花御殿は入母屋造の檜皮葺です。
【皇后の居所である皇后御常御殿-見どころ】
- 概要:皇后御常御殿(こうごうおつねごてん)は北端にあります。皇后御常御殿は皇后の居所として使われ、皇后御殿・准后常御殿・女御御殿・中宮御殿などと言われていました。皇后御常御殿には御上段・御中段・御下段・御小座敷上の間・御小座敷下の間・御寝の間・御化粧の間・一の御間・二の御間・三の御間・次の御間・申口の間などがあります。
- 様式:皇后御常御殿は入母屋造の檜皮葺です。
【若宮御殿・姫宮御殿-見どころ】
- 概要:若宮御殿(わかみやごてん)・姫宮御殿(ひめみやごてん)は皇后御常御殿の北側にあります。若宮御殿・姫宮御殿は一つの建物で、東側が若宮御殿、西側が姫宮御殿です。若宮御殿・姫宮御殿には御上段・次の間があります。
【女官の入内の儀式が行われた飛香舎-見どころ】
- 概要:飛香舎(ひぎょうしゃ)は一番北側にあります。飛香舎では女官の入内の儀式が行われ、凝花舎(梅壺)・襲芳舎(雷鳴壺)・昭陽舎(梨壺)・淑景舎(桐壺)とともに五舎とされました。飛香舎には女房の座・公卿の座・殿上人の座があります。飛香舎は藤壺(ふじつぼ)に藤が植えられ、藤壺とも言われました。
- 歴史:飛香舎は寛政年間(1789年~1801年)に平安様式で再建されました。
- 様式:飛香舎は入母屋造の檜皮葺です。
【御所の鬼門除けである猿が辻(猿ヶ辻)-見どころ】
- 概要:猿が辻(猿ヶ辻)は修学旅行・観光で見逃せません。猿が辻は東北角・鬼門にあり、塀が内側に凹んでいます。京都御所の周囲を散策すると確認できます。塀の屋根瓦の下には烏帽子(えぼし)を被り、御幣(ごへい)を担いだ猿の彫刻があります。猿は夜な夜な抜け出していたずらすることから金網で封じ込めたと言われています。
- 歴史:猿は滋賀・坂本にある日吉山王社(日吉大社(ひよしたいしゃ))の神のお使いで、「神猿(まさる)」が「魔去る」・「勝る」に通じることから祀られていると言われています。
- 事件:猿が辻では尊皇攘夷派のの公家・姉小路公知(あねがこうじきんとも)が襲われた「猿が辻の変」がありました。猿が辻は歴史的価値があります。
【左近の桜・右近の橘が植えられている庭園-見どころ】
- 概要:庭園は修学旅行・観光で見る価値があります。庭園は紫宸殿の南に南庭、清涼殿の東に東庭があります。南庭・東庭は一面に白砂を敷いた庭園です。南庭には東に桜、西に橘が植えられ、近くにある左近衛・右近衛から左近の桜・右近の橘と言われています。東庭には漢竹(からたけ)・呉竹(くれたけ)と言われる竹の植込みがあります。
- 歴史:右近の橘は1859年(安政6年)、左近の桜は1998年(平成10年)に植えられたそうです。なお桜は平安京遷都時に梅だったそうです。
【四方にある築地塀・門-見どころ】
- 概要:築地塀(南北約450メートル・東西約250メートル)は四方に造られています。築地塀には5本の筋があり、最も格式が高いことを表しています。築地塀には北面に朔平門(さくへいもん)、南面に建礼門(けんれいもん・)、東面に建春門(けんしゅんもん・)、西面北に皇后門(こうごうもん・)、西面中に清所門(せいしょもん・)、西面南に宜秋門(ぎしゅうもん・)が設けられています。
【売店がある参観者休所-見どころ】
- 概要:参観者休所は一般公開の出入口である清所門(西面中)南側にあります。参観者休所では売店で御朱印の代わりに参観記念を購入することができます。(要確認)京都御苑には中立売休憩所があります。
【仁和寺金堂などの移築建築物-見どころ】
- 概要:京都御所では建物の新築・建て替えの際、古い建物が寺院など移築されたことがありました。仁和寺・金堂(国宝)は寛永年間(1624年~1645年)に紫宸殿、南禅寺・大方丈(国宝)は慶長年間(1596年~1615年)に女院御所の対面御殿が移されたものです。仁和寺・南禅寺以外にも建物が移されています。
- 豆知識:仁和寺・金堂は現存する紫宸殿の最古の遺構と言われています。
【環境省が管理運営する京都御苑-見どころ】
- 概要:京都御苑(きょうとぎょえん)には多くの植物が植えられ、四季折々に美しい光景が見られます。京都御苑は江戸時代(1603年~1868年)に200もの宮家・公家の邸宅が立ち並んでいた場所です。京都御苑は国民公園として位置付けられ、御所と一体となった景観を維持しつつ、散策や休養等の場として親しまれています。なお京都御苑は環境省が管理運営を行っています。
【京都御所 備考(参考リンク・・・)】
*参考・・・京都御所(見どころ・アクセス・・・)ホームページ