南禅寺の文化財・見どころ-修学旅行・観光の豆知識
南禅寺の文化財・見どころ-方丈・三門・水路閣・法堂・雲龍図・方丈庭園
南禅寺の文化財・見どころを簡単にまとめて解説します。文化財・見どころには豊臣秀吉が建てた女院御所を前身とする大方丈などの方丈(国宝)、京都三大門に数えられる三門(重要文化財)、水路閣(史跡)などがあります。また法堂・方丈庭園等も見逃せません。なお修学旅行や観光で見るべき文化財の概要・歴史・様式・豆知識などを解説しています。
- 豊臣秀吉が建てた女院御所を前身とする大方丈などの方丈(国宝)
- 京都三大門・日本三大門に数えられる三門(重要文化財)
- 京都府御用掛・田辺朔郎の設計で建設された水路閣(史跡)
- 日本画家・今尾景年が描いた雲龍図「幡龍」がある法堂
- 小堀遠州が作庭した方丈庭園「虎の子渡しの庭」(名勝)
【南禅寺の歴史・簡単概要】
瑞龍山・南禅寺は1264年(文永元年)に第88代・後嵯峨天皇が営んだ離宮・禅林寺殿があった場所です。南禅寺は1291年(正応4年)に亀山法皇(第90代・亀山天皇)が大明国師・無関普門を開山として離宮を寺院に改め、龍安山禅林禅寺と名付けたと言われています。南禅寺は皇室発願の最初の禅寺になりました。室町時代に隆盛を極め、京都五山及び鎌倉五山の上に置かれ、別格扱いの「五山之上」に列せられました。
【関白・豊臣秀吉が建てた女院御所を前身とする大方丈などの方丈(国宝)】
- 簡単概要:方丈は修学旅行・観光で絶対に見る価値がある文化財です。方丈は大方丈と小方丈に分かれています。大方丈は女院御所の対面御殿が前身とされ、狩野派の障壁画が飾られています。大方丈には内陣(仏間)・御昼の間・鳴滝の間・麝香(じゃこう)の間・鶴の間・西の間・柳の間・六畳・狭屋(さや)の間・広縁(ひろえん)があります。小方丈には虎の間・三室(九畳・六畳・二十畳)・広縁があります。大方丈には仏間以外に狩野派(かのうは)の絵師が描いた障壁画(重要文化財)があります。ただ障壁画は女院御所を移築した際に配置・構成が大幅に変更されたそうです。小方丈には虎の間に絵師・狩野探幽(かのうたんゆう)が描いたと言われている群虎図があります。
- 歴史ポイント:大方丈は天正年間(1573年~1593年)に女院御所の対面御殿として造営され、慶長年間(1596年~1615年)の御所建て替えの際に賜り、1611年(慶長16年)に移築されて再建されました。小方丈は寛永年間(1624年~1645年)に建立されました。
- 様式:大方丈は屋根が入母屋造(いりもやづくり)のこけら葺(こけらぶき)です。小方丈は屋根が切妻造(きりづまづくり)のこけら葺です。大方丈は欄間(らんま)の彫刻が左甚五郎(ひだりじんごろ)作とされています。
- 豆知識:大方丈は寺伝によると女院御所の対面御殿ではなく、御所の清涼殿(せいりょうでん)が移築されたとされています。清涼殿は平安時代中期に天皇の御殿とされ、日常の政務や四方拝(しほうはい)・叙位(じょい)・除目(じもく)などの行事が行われるようになりました。小方丈は関白・豊臣秀吉が築城した伏見城の遺構とも、寛永年間(1624年~1645年)に建てられた伏見城の小書院とも言われています。
【京都三大門・日本三大門に数えられる三門(重要文化財)】
- 簡単概要:三門は方丈に次ぎ、修学旅行・観光で見る価値がある文化財です。三門は高さ約22メートルで、京都三大門・日本三大門に数えられています。2階から美しい光景を眺められ、桜・紅葉シーズンには桜・紅葉に彩られた絶景が見られます。三門は「天下竜門(てんかのりゅうもん)」と言われ、二階が五鳳楼(ごほうろう)と言われています。三門は二階に宝冠釈迦(ほうかんしゃか)座像・月蓋長者(がっかいちょうじゃ)像・善財童士(ぜんざいどうじ)像・十六羅漢(じゅうろくらかん)像を安置しています。また本光国師(ほんこうこくし)像・徳川家康像・藤堂高虎像と一門の重臣の位牌(いはい)なども安置しています。なお二階には天井に狩野探幽・土佐徳悦が描いた極彩色の鳳凰(ほうおう)・天人(てんにん)図もあります。
- 歴史ポイント:三門は1628年(寛永5年)に武将・藤堂高虎(とうどうたかとら)が金地院崇伝(こんちいんすうでん)の勧めによって寄進し、1615年(元和元年)の大坂夏の陣で戦死した一門の武士の冥福を祈る為に建立されました。ちなみに三門は1295年(永仁3年)に西園寺実兼(さいおんじさねかね)の寄進によって建立され、応安年間(1368年~1375年)に改築されたが、1447年(文安4年)に火災で焼失しました。
- 様式:三門は五間三戸二階二重門(ごけんさんこにかいにじゅうもん)で、両側に山廊(さんろう)があります。三門は屋根が入母屋造の本瓦葺(ほんがわらぶき)です。山廊は屋根が切妻造の本瓦葺です。山廊は桁行三間・梁間二間です。
- 三大門:三門は知恩院(ちおんいん)の三門・東本願寺(ひがしほんがんじ)の御影堂門(ごえいどうもん)とともに京都三大門と言われています。また三門は日本三大門にも数えられています。
- 豆知識:三門は歌舞伎「楼門五三桐(さんもんごさんの きり)」で、桃山時代の盗賊・石川五右衛門(いしかわごえもん)が「絶景かな、絶景かな。・・・」と見得を切る「南禅寺山門の場」とされています。ただ三門は石川五右衛門の死後(1594年(文禄3年))、30年以上経ってから建立されました。
【京都府御用掛・田辺朔郎の設計で建設された水路閣(史跡)】
- 簡単概要:水路閣(すいろかく)は修学旅行・観光で見る価値がある文化財です。水路閣は山内の南東に位置し、琵琶湖疏水(びわこそすい)第一疏水分線が流れています。水路閣はドラマ・映画などのロケ地としてよく知られています。修学旅行生や観光客に人気があり、写真撮影スポットになっています。水路閣は拝観エリア外にあり、時間を気にすることなく眺めることができます。
- 歴史ポイント:水路閣は1888年(明治21年)に京都府御用掛で、土木技術者・田辺朔郎(たなべさくろう)が設計して建設されました。なお水路閣はかつて亀山天皇陵前桟橋(かめやまてんのうりょうまえさんばし)・南禅寺桟橋と言われていたそうです。
- 様式:水路閣は花崗岩(かこうがん)と煉瓦造(れんがづくり)です。水路閣は延長約93.1メートル・幅約4.06メートル・水路直径約2.4メートルで、最も高い場所が約13メートルあります。水路閣には2基の橋台・13基のアーチ型の橋脚があります。
【御所の日ノ御門が移築された勅使門(重要文化財)】
- 簡単概要:勅使門は虹梁(こうりょう)などに龍・麒麟(きりん)・孔雀(くじゃく)・松・牡丹(ぼたん)・雲・波などの透かし彫りがされています。勅使門は彫刻と格式に注目です。
- 歴史ポイント:勅使門は慶長年間(1596年~1615年)に御所の日ノ御門(ひのみかど)として造営され、1641年(寛永18年)に第109代・明正天皇(めいしょうてんのう)から賜って建立しました。
- 様式:勅使門は屋根が切妻造の檜皮葺(ひわだぶき)です。
- 豆知識:勅使門は天皇や勅使(ちょくし)の来山の際に限って開かれました。ただ現在は住持(じゅうじ・住職)の就任の際に開かれます。
【日本画家・今尾景年が描いた雲龍図「幡龍」がある法堂】
- 簡単概要:法堂には天井に日本画家・今尾景年(いまおけいねん)が描いた雲龍図「幡龍(ばんりゅう)」があります。ただ法堂は通常入堂できず、外側から雲龍図の一部が見る場合があります。法堂は南禅寺の本堂で、本尊・釈迦如来(しゃかにょらい)、右に文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、左に普賢菩薩(ふげんぼさつ)を安置しています。法堂では法式行事や法要も行われます。
- 歴史ポイント:法堂は1893年(明治26年)に火災で焼失し、1909年(明治42年)に再建されました。1990年(平成2年)に開山・大明国師700年大遠忌(だいおんき)の記念行事として、屋根の茸替え工事・敷瓦取り替え工事が行われました。ちなみに法堂は創建時に建立されたが、応仁の乱(1467年(応仁元年)~1477年(文明9年))で焼失し、1479年(文明11年)頃に再建され、1606年(慶長11年)に関白・豊臣秀吉の子・豊臣秀頼の寄進によって大改築されました。
- 様式:法堂は屋根が入母屋造の本瓦葺で、一重もこし(裳階)付きです。
- 雲龍図:雲龍図「幡龍」は明治時代から大正時代に活躍した京都画壇・四条派(しじょうは)の日本画家・今尾景年が描き、今尾景年畢生(一生涯)の大作と言われているそうです。
【小堀遠州が作庭した方丈庭園「虎の子渡しの庭」(名勝)】
- 簡単概要:方丈庭園「虎の子渡しの庭」は修学旅行・観光で見逃せません。方丈庭園「虎の子渡しの庭」は大方丈の南にあります。方丈庭園は築地塀に囲まれた面積約120坪の枯山水式庭園です。方丈庭園は江戸時代を代表する作庭家・小堀遠州が作庭し、水墨画の世界が表現されています。江戸時代初期を代表する枯山水式庭園と言われています。
- 歴史ポイント:方丈庭園は1611年(慶長16年)頃に小堀遠州(こぼりえんしゅう)が作庭したと言われています。
- 豆知識:「虎の子渡しの庭」の名称は中国の説話「癸辛雑識」にある母虎が子を連れて渓流を渡ることに由来しています。
【柴山全慶が作庭した小方丈庭園「如心庭」】
- 簡単概要:小方丈庭園「如心庭(にょしんてい)」は白砂に「心」の字形に石を配置した枯山水庭園です。
- 歴史ポイント:小方丈庭園は1966年(昭和41年)に管長・柴山全慶(しばやまぜんけい)が「心を表現せよ」と指示して作庭されました。柴山全慶は花園大学・大谷大学で教授を歴任しました。
【六道輪廻の戒めを表現した庭園「六道庭」】
- 簡単概要:庭園「六道庭(ろくどうてい)」は六道輪廻(ろくどうりんね)の戒めを表現した庭園です。六道輪廻は天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄の6つの世界を人間が何度も生まれ変わり、彷徨い続けるという仏教の世界観を表しているそうです。六道庭は苔の中に石が配置されています。
- 歴史ポイント:六道庭は1967年(昭和42年)に作庭されました。
【寺務所である本坊(庫裏)】
- 簡単概要:本坊(庫裏)は本来台所だが、寺務所としても使われています。本坊は天井のない吹き抜けになっています。本坊は韋駄尊天(いだそんてん)を安置しています。本坊の滝の間では清涼の滝を眺めながら抹茶(有料)を味わこともできるそうです。なお本坊では御朱印を授与しています。(要確認)
- 行事:本坊には大玄関があり、特別な行事の際に限って使われます。
●上記以外は下記リンクから確認することができます。
南禅寺見どころ(放生池・桜・紅葉など)
【南禅寺 備考(参考リンク・・・)】
*参考・・・南禅寺(見どころ・アクセス・・・)ホームページ