葵祭・賀茂競馬と乗尻・賀茂氏(かもし)
葵祭・賀茂競馬と乗尻・賀茂氏
葵祭・賀茂競馬は天下太平と五穀豊穣を祈願する武徳殿の宮中行事が起源だったが、1093年(寛治7年)に第73代・堀河天皇が上賀茂神社に移しました。移転直後は乗尻を宮中の殿上人・左右近衛府の武官が奉仕していたが、鎌倉時代に上賀茂神社の氏人に託されました。
★葵祭2025の最新情報
【葵祭日程(要確認)】
葵祭・路頭の儀は例年5月15日に行われます。ただ悪天候の場合、翌16日に順延されます。
葵祭2025日程(時代行列・流鏑馬神事・・・)
●葵祭路頭の儀では人約500名・馬約40頭・牛4頭・牛車2台・輿(こし)1丁などの時代行列が巡行します。
葵祭路頭の儀
【葵祭 歴史・簡単概要】
葵祭(あおいまつり)は古墳時代後期の欽明天皇の時代(539年~571年)に京都をはじめ全国が風水害に見舞われて飢餓・疫病が流行し、賀茂大神(上賀茂神社・下鴨神社)の崇敬者・卜部伊吉若日子(うらべのいきわかひこ)に占わせられたところ賀茂大神の祟りであると奏した為、4月吉日を選んで、馬に鈴を懸け、人は猪頭(いのがしら)を被り、駆競(くち・かけくらべ)して盛大に祭りを行ったことが起源です。その後819年(弘仁10年)に律令制度の中で最も重要な恒例祭祀(中祀)に準じて行われる国家的行事になり、平安時代中期に祭りと言えば、葵祭のことをさすほど隆盛を極めました。
葵祭歴史年表・由来
【葵祭・賀茂競馬と乗尻・賀茂氏】
葵祭では例年5月15日に路頭の儀(ろとうのぎ)・社頭の儀(しゃとうのぎ)が行われ、前儀に賀茂競馬足汰式(かもくらべうまあしそろえしき)・流鏑馬神事(やぶさめしんじ)・斎王代以下女人列御禊神事(さいおうだいいかにょにんれつみそぎしんじ)・歩射神事(ぶしゃしんじ)・賀茂競馬(かもくらべうま)、後儀に献茶祭(けんちゃさい)・煎茶献茶祭(せんちゃけんちゃさい)などが行われています。賀茂競馬足汰式・賀茂競馬はいずれも上賀茂神社で行われ、代々賀茂県主(かもあがたぬし)一族の後裔が乗尻(騎手)として奉仕しています。賀茂競馬は天下太平と五穀豊穣を祈願する武徳殿(ぶとくでん)の宮中行事(節会)が起源だったが、平安時代後期の1093年(寛治7年)に第73代・堀河天皇(ほりかわてんのう)が上賀茂神社に移しました。上賀茂神社への移転直後は乗尻(のりじり・騎手)を宮中の殿上人(てんじょうびと)・左右近衛府(このえふ)の武官が奉仕していたが、鎌倉時代に上賀茂神社の氏人(賀茂県主(かもあがたぬし)一族の後裔)に託されました。賀茂競馬は鎌倉時代前期に「賀茂旧記」1203年(建仁3年)5月5日の条に記されているのが初見で、鎌倉時代前期頃から上賀茂神社の氏人が乗尻(騎手)を務めるようになったとも言われています。「賀茂別雷神社嘉元年中行事」には「氏人すいかんをちゃくし御馬を番」・「ろくのやくは左わかみやのねぎ」などと記され、遅くとも鎌倉時代後期の嘉元年間(1303年~1306年)には上賀茂神社の氏人が乗尻(騎手)が務めていました。上賀茂神社の氏人(賀茂県主一族の後裔)には九折南下(きゅうせつなんか)・七編返し馬など「賀茂悪馬流(かもあくばりゅう)」と言われる独特の乗り方・作法などの馬術が継承されています。現在の乗尻(騎手)は小学生の頃から木馬で乗馬の基礎を学び、その後実際に馬に乗って稽古をします。そして例年3月上旬頃から上賀茂神社の奥馬場で乗馬の練習を行い、例年4月中旬頃から本馬場で乗馬の練習を行っているそうです。また乗尻(騎手)は乗馬だけでなく、参向した旨を所役に報告をする出仕奉告・乗馬で使用する鞭を洗い清める儀式(お鞭洗いの儀)などの作法も稽古します。ちなみに鎌倉時代後期には賀茂競馬で勝利した乗尻(騎手)は舞楽の「蘭陵王(らんりょうおう」・「納蘇利(なそり)」を奉納していたことから現在の乗尻(騎手)も左方が「朱色の打毬楽(だきゅうらく)」・右方が「茶褐色の狛桙(こまほく)」という舞楽装束を纏っています。なお乗尻(騎手)は賀茂競馬足汰式・賀茂競馬で同じ馬に乗り、美作国倭文庄・加賀国金津庄・播磨国安志庄・能登国土田庄・阿波国福田庄・美濃国脛長庄・近江国舟木庄・若狭国宮川庄・淡路国淡路庄・出雲国出雲庄などの荘園名を名乗ります。
上賀茂神社賀茂競馬
【賀茂氏(賀茂県主) 葵祭】
賀茂氏(賀茂県主)は初代・神武天皇の東征の際に先導した八咫烏(やたがらす)として尊称される賀茂武角命(上賀茂神社の祭神の祖父神)の後裔として、賀茂県主姓を賜り、山城(京都)一円を治め、上賀茂神社の神職として奉仕し、明治維新後に社家として神事に奉仕しています。なお上賀茂神社の祠官家には松下家・鳥居大路家・林家・森家・梅辻家・富野家・岡本家、下鴨神社の祠官家には泉亭家・梨木家・広庭家・滋岡家・鴨脚家などの諸家があります。
【葵祭・賀茂競馬と乗尻・賀茂氏 備考】
*イベントの情報(日程・場所・内容など)は必ず主催者に確認して下さい。当サイトの情報はあくまで参考情報です。イベントの内容などが変更になっている場合もあります。
葵祭見どころ