清凉寺の歴史-修学旅行・観光の簡単解説
清凉寺の歴史を時代別年表にまとめ
清凉寺の歴史を簡単にまとめています。清凉寺は987年(永延元年)に奝然上人が「三国伝来の釈迦像」を祀る大清凉寺を建立しようとしたが、その後亡くなり、弟子・盛算が遺志を受け継ぎ、棲霞寺内の釈迦堂に建立したのが起源です。(時代別年表・重要人物下記参照)
【清凉寺が建立されている場所】
- 清凉寺が建立されている場所は第52代・嵯峨天皇(さがてんのう)の皇子で、「源氏物語(げんじものがたり)・紫式部(むらしきしきぶ)作」の主人公・光源氏(ひかるげんじ)のモデルとも言われている左大臣・源融(みなもとのとおる)の山荘・棲霞観(せいかかん)があった場所と言われています。
- 895年(寛平7年)に源融が亡くなり、源融の一周忌である896年(寛平8年)に子息が阿弥陀三尊(あみださんぞん)像を造仏して阿弥陀堂に安置し、棲霞寺(せいかじ)と号しました。
- 945年(天慶8年)に重明親王妃(しげあきらしんのうひ)が新堂を建立し、等身大の釈迦(しゃか)像を安置しました。なお清凉寺が嵯峨釈迦堂(さがしゃかどう)と言われるのは釈迦像が安置されたことに由来するとも言われています。
【清凉寺の起源・始まり】
- 清凉寺は987年(永延元年)に奈良・東大寺(とうだいじ)出身の奝然上人(ちょうねんしょうにん)が愛宕山を中国の五台山(清凉山)に見立て、「三国伝来の釈迦像」を安置する大清凉寺を建立しようとしたが、1016年(長和5年)に亡くなり、弟子・盛算(じょうさん)が遺志を受け継ぎ、棲霞寺内の釈迦堂に安置したのが起源と言われています。「三国伝来の釈迦像」は奝然上人が宋(中国)に渡り、985年(寛和元年)に台州の開元寺で仏師に命じ、釈迦如来像を謹刻させたものです。釈迦如来像は古代インドの優填王(うでんおう)が仏教の開祖・お釈迦さま(おしゃかさま)の37歳の姿を栴檀(せんだん)の木で造らせた霊像(釈迦栴檀瑞像)を模刻したもので、インドから中国を経て日本に伝来したことから「三国伝来の釈迦像」と言われています。また「三国伝来の釈迦像」は生きている37歳のお釈迦さまを生き写していることから「生身の釈迦」とも言われています。なお釈迦堂は華厳宗(けごんしゅう)の五台山清凉寺に改められ、その後天台宗(たんだいしゅう)・真言宗(しんごんしゅう)を兼ねるようになり、愛宕山白雲寺(愛宕神社(あたごじんじゃ))の山下別当寺になったとも言われています。
【鎌倉時代(1185年頃~1333年頃)の歴史・出来事】
- 1279年(弘安2年)に大念仏中興上人と言われた円覚(十万)上人の大念仏(融通念仏(ゆうずうねんぶつ))が伝わったとも言われています。
【室町時代(1336年頃~1573年頃)の歴史・出来事】
- 1443年(嘉吉3年)に嵯峨大念仏が清凉寺で初めて行われ、その後嵯峨大念仏が盛んになり、釈迦堂は融通念仏宗の道場になりました。
- 室町時代中期に応仁の乱(1467年(応仁元年)~1477年(文明9年))によって清凉寺が焼失したが、1481年(文明13年)に再興されました。
【戦国時代(室町時代後期)の歴史・出来事】
- 1530年(享禄3年)に円誉が清凉寺に入寺し、初めて十二時の念仏が行われるようになり、浄土宗(じょうどしゅう)に改められました。
【江戸時代(1603年頃~1868年頃)の歴史・出来事】
- 1602年(慶長7年)に関白・豊臣秀吉(とよとみひでよし)の子・豊臣秀頼(とよとみひでより)の寄進によって本堂(釈迦堂)が再建されました。
- 1637年(寛永14年)に嵯峨大火によって清凉寺が類焼し、本堂などの伽藍が焼失しました。
- 1700年(元禄13年)から本尊の出開帳が江戸から始まりました。
- 1701年(元禄14年)に江戸幕府5代将軍・徳川綱吉や生母・桂昌院(けいしょういん)らの発願によって本堂が再建されました。
【明治時代以降(1868年頃~)の歴史・出来事】
- 1986年(昭和61年)に嵯峨大念仏狂言が国の重要無形民俗文化財に指定されました。
【清凉寺の開山とされる奝然上人】
奝然上人は938年(天慶元年)に藤原真連の子として生まれました。奈良・東大寺の観理に三論教学、滋賀・石山寺の元杲に真言密教を学びました。983年(永観元年)に宋商船で宋(中国)に渡り、天台山・五台山などを巡礼し、太宗から紫衣・法済の大師号などを賜りました。宋滞在中に優填王がお釈迦さま在世中に栴檀の木で造らせた霊像(釈迦如来像)を模刻しました。986年(寛和2年)に釈迦如来像や大蔵経・十六羅漢画像などを持って帰国しました。987年(寛和3年)に法橋に任じられ、989年(永祚元年)に東大寺別当を務めました。なお奝然上人は1016年(長和5年)に亡くなりました。
【清凉寺 備考】
*参考・・・清凉寺・嵯峨釈迦堂(歴史・見どころ・・・)ホームページ