周恩来(しゅうおんらい)と嵐山
周恩来と嵐山
嵐山には嵐山公園があります。嵐山公園は亀山地区・中之島地区・臨川寺地区から構成され、亀山地区に「雨中嵐山」の詩碑があります。「雨中嵐山」は大正時代(1912年~1926年)に日本に留学していた周恩来が1919年(大正8年)の中国帰国前に嵐山を訪れた際に詠みました。
【嵐山 歴史・簡単概要】
嵐山は一級河川・桂川(大堰川)に架けられて渡月橋の西側、京都市西京区に位置する標高約382メートルの山です。嵐山は古くから景勝地で、平安時代(794年~1185年)以降に紅葉名所として知られるようになり、皇族・貴族らが訪れ、付近に離宮・山荘などが営まれるようになりました。また嵐山では後嵯峨上皇(第88代・後嵯峨天皇)が奈良・吉野山から桜の木を移植すると桜名所にもなりました。嵐山は「日本さくら名所100選」・「日本の紅葉の名所100選」に選ばれています。また嵐山は国の史跡・国の名勝にも指定されています。なお嵐山・嵯峨野には桂川(大堰川)が流れて渡月橋が架けられ、世界遺産である天龍寺・二尊院・常寂光寺・化野念仏寺・虚空蔵法輪寺などの寺社が点在し、竹林の道(竹林の小径)などがあり、京都随一の観光地になっています。
嵐山桜見ごろ・嵐山紅葉見ごろ
【嵐山公園は(亀山地区・中之島地区・臨川寺地区)】
嵐山には一帯に面積約10.6ヘクタールの嵐山公園があります。嵐山公園は明治時代(1868年~1912年)末期に桂川(大堰川)左岸に整備された亀山地区・桂川中州に整備された中之島地区・昭和に桂川左岸に整備された臨川寺地区から構成され、亀山地区(亀山公園)に「雨中嵐山」の詩碑があります。「雨中嵐山」は1917年(大正6年)9月に中国から日本に留学していた周恩来(しゅうおんらい)が1919年(大正8年)4月5日の中国帰国前に嵐山を訪れた際に詠みました。周恩来は日本留学最後の半年余を京都の友人・呉翰濤宅に寄宿し、京都大学の聴講生になり、マルクス主義の紹介と普及に大きな役割を果した京都大学経済学部教授・河上肇の影響を受けたと言われています。その後1978年(昭和53年)8月に日中平和友好条約が調印され、条約調印を永遠に記念し、子々孫々に友好を願う心を表わしたいという声が起こり、1979年(昭和54年)に周恩来総理記念詩碑建立委員会(日本国際貿易促進協会京都総局)が「雨中嵐山」の詩碑を建てました。同年4月16日に故・周総理の未亡人・鄧穎超を京都に迎えで除幕式・建立祝賀会が行われました。
「雨中嵐山」の詩碑には「日本京都 一九一九年四月五日 雨中二次遊嵐山、両岸蒼松、挟着幾株櫻。到尽処突見一山高、流出泉水緑如許、繞石照人。瀟瀟雨、霧濛濃。一線陽光穿雲出、愈見きょう妍。人間的万象真理、愈求愈模糊一模糊中偶然見着一点光明、 真愈覚嬌妍。」と記されています。蔡子民訳では「雨の中を二度嵐山に遊ぶ 両岸の青き松に、いく株かの桜まじる 道の尽きるやひときわ高き山見ゆ 流れ出る泉は緑に映え、石をめぐりて人を照らす 雨濛々として霧深く 陽の光雲間より射して、いよいよなまめかし 世のもろもろの真理は、求めるほどに模糊とするも ―模糊の中にたまさかに一点の光明を見出せば、真(まこと)にいよいよなまめかし」と訳されています。
【周恩来(しゅうおんらい)】
周恩来は1898年3月5日に中国江蘇省淮安府山陽県で生まれました。天津の南開中学校で学んで卒業し、1917年に日本に留学しました。語学力不足で第一高等学校・東京高等師範学校の受験に不合格し、東亜高等予備学校(日華同人共立東亜高等予備学校)・東京神田区高等予備校(法政大学付属学校)・明治大学政治経済科に通学しました。1919年4月に中国に帰国して南開大学文学部に入学し、1919年に五・四運動に参加しました。1920年にフランスパリに留学し、イギリスのエディンバラ大学に入学許可されたが、中国政府から奨学金が受けられずに断念してフランスに戻り、1924年に帰国しました。また1921年に中国共産主義青年団の創立に参加し、1922年に中国共産党に入党して中共フランス支部を結成しました。帰国後に上海・南昌蜂起を指導し、その後毛沢東を補佐します。1925年に穎超と結婚しました。第二次世界大戦(太平洋戦争)中に国共合作や抗日戦で活躍し、戦後に毛沢東を助けて中華人民共和国の建国に貢献しました。1949年の中華人民共和国の建国後に国務院総理に就任し、1976年の死去まで27年間務めました。1958年までは外交部長を兼任し、外交政策を主管しました。1966年からの文化大革命で毛沢東を支持したが、1971年の林彪事件以降に脱文革化・非毛沢東化を推進しました。アメリカ大統領の訪中と米中共同声明発表・日中国交正常化などを推進しました。なお周恩来は1976年1月8日に亡くなりました。
【周恩来と嵐山】
*京都には多くの紅葉名所があり、その紅葉見ごろを下記リンクから確認できます。
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