宇都宮業綱(うつのみやよりつな)と嵐山
宇都宮業綱と嵐山
嵐山は古来から山水の美を兼ねた景勝地で、平安時代(794年~1185年)以降に皇族・貴族らが離宮・山荘などを営んだり、隠遁者が草庵を結んだりしました。宇都宮頼綱は実信房蓮生と号し、関東を離れて京都嵯峨野の小倉山山麓に庵を結んで隠遁しました。
【嵐山 歴史・簡単概要】
嵐山は一級河川・桂川(大堰川)に架けられて渡月橋の西側、京都市西京区に位置する標高約382メートルの山です。嵐山は古くから景勝地で、平安時代(794年~1185年)以降に紅葉名所として知られるようになり、皇族・貴族らが訪れ、付近に離宮・山荘などが営まれるようになりました。また嵐山では後嵯峨上皇(第88代・後嵯峨天皇)が奈良・吉野山から桜の木を移植すると桜名所にもなりました。嵐山は「日本さくら名所100選」・「日本の紅葉の名所100選」に選ばれています。また嵐山は国の史跡・国の名勝にも指定されています。なお嵐山・嵯峨野には桂川(大堰川)が流れて渡月橋が架けられ、世界遺産である天龍寺・二尊院・常寂光寺・化野念仏寺・虚空蔵法輪寺などの寺社が点在し、竹林の道(竹林の小径)などがあり、京都随一の観光地になっています。
嵐山桜見ごろ・嵐山紅葉見ごろ
【宇都宮業綱(うつのみやよりつな)】
嵐山は古来から山水の美を兼ねた景勝地で、平安時代(794年~1185年)以降に皇族・貴族らが離宮・山荘などを営んだり、西行法師(さいぎょうほうし)らの隠遁者(いんとうしゃ)が草庵を結んだりしました。宇都宮業綱は藤原姓宇都宮氏5代当主で、鎌倉幕府の有力御家人として伊予国(愛媛県)守護職にもなったが、鎌倉時代(1185年~1333年)前期の1205年(元久2年)7月に鎌倉幕府3代将軍・源実朝(みなもとのさねとも)の殺害を謀った牧氏の変が起こり、同年8月に自らも謀反の嫌疑を掛けられて出家しました。宇都宮頼綱は栃木宇都宮から鎌倉に向かって、鎌倉幕府執権・北条家に面会を求めたが、一度拒絶されたことから一族の結城朝光を介して献髪して陳謝しました。宇都宮頼綱は実信房蓮生(じっしんぼうれんじょう)と号し、関東(東国)を離れて京都嵯峨野の小倉山(おぐらやま)山麓に庵を結んで隠遁しました。浄土宗(じょうどしゅう)の宗祖・法然上人(ほうねんしょうにん)の弟子・証空(しょうくう)に師事し、1227年(嘉禄3年)の嘉禄の法難の際には法然上人の遺骸を天台宗の僧兵から守る為、弟・信生(塩谷朝業)らとともに東山の法然廟所から二尊院までの遺骸移送の護衛を務めました。宇都宮頼綱は1235年(嘉禎元年)夏に同族である歌人・藤原定家(ふじわらのていか)に嵯峨野の山荘の障子色紙に歌人の和歌を1首ずつ揮毫して欲しいと要望され、第38代・天智天皇(てんじてんのう)から第84代・順德天皇(じゅんとくてんのう)までの100人の歌人から和歌を1首ずつ選んで、宇都宮頼綱に書き送りました。藤原定家は小倉山荘(時雨亭(しぐれてい))で編纂したことから「小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)」と言われるようになりました。
●宇都宮頼綱は1178年(治承2年)に宇都宮業綱と平長盛の娘の子として生れました。源頼朝の乳母・寒河尼に預けられ、寒河尼の夫・小山政光の養子になりました。1189年(文治5年)の奥州合戦で功を挙げ、1194年(建久5年)に鎌倉幕府2代執権・北条義時の嫡男・北条泰時の元服の儀に参列しました。1194年(建久5年)に祖父・宇都宮朝綱が公田掠領騒動で朝廷から豊後国国府預かりとされて連座したが、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の働き掛けにより、宇都宮頼綱が赦免され、祖父が出家して隠居しました。1199年(正治元年)の梶原景時の変で弾劾に加わり、1204年(元久元年)頃に伊予国(愛媛)守護職になりました。1205年(元久2年)の畠山重忠の乱で功を挙げたが、同年に鎌倉幕府3代将軍・源実朝の殺害を謀った牧氏の変が起こり、その後謀反の嫌疑を掛けられて出家しました。宇都宮頼綱は実信房蓮生と号し、京都嵯峨野の小倉山山麓に庵を結んで隠遁したが、1214年(建保2年)頃までに赦されたと言われています。浄土宗の宗祖・法然上人の弟子・証空に師事し、京都の常盤・栃木の宇都宮・群馬の桐生などに念仏堂(庵)を建立しました。1226年(嘉禄2年)に孫娘と北条泰時の孫で、後の鎌倉幕府4代執権・北条経時が婚約したが、1245年(寛元3年)に孫娘が子供の無いまま亡くなりました。1227年(嘉禄3年)の嘉禄の法難の際に法然上人の遺骸を護送しました。同族の藤原定家と親交が深く、娘を藤原定家の嫡男・藤原為家と結婚させました。藤原為家が信濃国国主になると助言しました。宇都宮頼綱は歌人としても優れ、宇都宮歌壇を京都歌壇・鎌倉歌壇に並ぶ地位に引き上げました。なお宇都宮頼綱は1259年(正元元年)12月26日に亡くなりました。
【宇都宮業綱と嵐山】
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