高山寺の見どころ-修学旅行・観光の簡単まとめ

高山寺(Kozan-ji Temple, Kosan-ji Temple)

高山寺の国宝・重文などの文化財の見どころ解説

高山寺の見どころを簡単にまとめて解説します。見どころには明恵上人時代の唯一の遺構と言われる石水院(国宝)、兎・蛙などの動物を擬人化した絵のみの鳥獣人物戯画(国宝)、本尊を祀る金堂などがあります。また開山堂・遺香庵・茶園なども見逃せません。

【明恵上人時代の唯一の遺構と言われる石水院(国宝)の解説】

  • 概要:石水院は絶対に見る価値があるハイライトです。石水院は中興の祖・明恵上人時代(鎌倉時代(1185年~1333年))の唯一の遺構とも言われ、五所堂と言われています。石水院は1235年(文暦2年)に春日明神(かすがみょうじん)・住吉明神(すみよしみょうじん)が祀られました。石水院は廂の間(ひさしのま)の欄間(らんま)に文人画家・儒学者(じゅがくしゃ)である富岡鉄斎(とみおかてっさい)筆の横額「石水院」が掛けられ、落板敷(おちいたじき)中央に善財童子(ぜんざいどうじ)像を安置しています。また石水院は南面の欄間に伝・後鳥羽上皇の勅額「日出先照高山之寺(縦約105.8センチ・横約58.8センチ・厚約2.0センチ)」も掛けられています。なお石水院は南面から清滝川(きよたきがわ)を越えて向山を望めます。
  • 歴史:石水院は1216年(建保4年)に東経蔵として建立され、その後石水院の名を継いだと言われています。また石水院は後鳥羽上皇(第82代・後鳥羽天皇)の学問所(賀茂の別院(かものべついん))を賜ったとも、明恵上人の住房跡とも言われています。石水院は中興の祖・明恵上人時代の唯一の遺構とも言われています。石水院は金堂(こんどう)の東側に建立されていたが、1889年(明治22年)に現在の場所に移されました。なおかつての石水院は東経蔵の谷向いに建立されていたが、1228年(安貞2年)に洪水によって消失しました。
  • 様式:石水院は入母屋造(いりもやづくり)のこけら葺(こけらぶき)です。
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【詞はなく、動物を擬人化した絵のみの鳥獣人物戯画(国宝)の解説】

  • 概要:鳥獣人物戯画は石水院に次ぎ、見る価値があるハイライトです。鳥獣人物戯画は教科書に掲載されたこともあるが、見られるのは模本です。鳥獣人物戯画(紙本墨画鳥獣人物戯画(しほんぼくがちょうじゅうじんぶつぎが)4巻)は甲巻・乙巻・丙巻・丁巻の4巻から構成された墨画の絵巻で、詞(ことば)はなく、兎(うさぎ)・蛙(かえる)・猿・鹿などの動物を擬人化した絵のみです。鳥獣人物戯画は漫画文化のルーツとも見なされています。なお甲巻・乙巻は東京国立博物館、丙巻・丁巻は京都国立博物館に寄託されています。
  • 歴史:甲巻・乙巻は平安時代後期(12世紀後半)、丙巻は鎌倉時代(12世紀~13世紀)、丁巻は鎌倉時代(13世紀)に制作されたとも言われています。高山寺には16世紀以降(戦国時代(1493年~1590年)から桃山時代(1583年~1603年))に伝わったと言われています。
  • 歴史:作者は明確ではありません。作者は天台寺門宗(てんだいじもんしゅう)総本山・園城寺(おんじょうじ・三井寺(みいでら))法輪院(ほうりんいん)の僧で、戯画の名手・鳥羽僧正覚猷(とばそうじょうかくゆう)とも言われています。鳥羽僧正覚猷は漫画の始祖とも言われています。また鳥羽僧正覚猷に協力して密教図像を収集した絵仏師・定智(じょうち)とも、天台宗総本山・延暦寺(えんりゃくじ)の塔頭・無動寺(むどうじ)の僧・義清阿闍梨(ぎせいあじゃり)とも言われています。なお鳥獣人物戯画は天台僧の即興的な戯画「をこ絵(嗚呼絵)」に由来するとも言われています。「をこ絵」には「ばかげたおどけ絵」という意味があるそうです。
  • 甲巻は縦30.4センチ・全長1,148.4センチで、擬人化された動物が描かれています。甲巻はユーモラスで、漫画文化のルーツとも言われています。
  • 乙巻は縦30.6センチ・全長1,189.0センチで、実在・空想上を合わせた動物図譜(ずふ)になっています。
  • 丙巻は縦30.9センチ・全長933.3センチで、前半が人間風俗画、後半が動物戯画になっています。
  • 丁巻は縦31.2センチ・全長1,130.3センチで、勝負事を中心に人物が描かれています。

【本尊・釈迦如来坐像を祀り、本堂にあたる金堂の解説】

  • 概要:金堂は見逃せません。金堂は高山寺の本堂で、室町時代(1336年~1573年)に造仏されたと言われる本尊・釈迦如来(しゃかにょらい)坐像を安置しています。
  • 歴史:金堂は1634年(寛永11年)に秀融・永弁らが仁和寺(にんなじ)の院家(いんげ)・真光院(しんこういん)から古御堂(みどう)を移して再建したと言われています。また金堂は1634年(寛永11年)に江戸幕府3代将軍・徳川家光(とくがわいえみつ)が仁和寺・覚深法親王(かくしんほっしんのう・覚深入道親王(かくしんにゅうどうしんのう))の御願によって仁和寺から移して再建したと言われています。ちなみに金堂は1219年(承久元年)に創建され、1547年(天文16年)に焼失したと言われています。
  • 様式:金堂は入母屋造の銅板葺(どうばんぶき)です。金堂は桁行(けたゆき)三間・梁間(はりま)三間です。

【中興の祖・明恵上人を祀る開山堂の解説】

  • 概要:開山堂は見逃せません。開山堂は明恵上人が晩年を過ごし、明恵上人の終焉(しゅうえん)の地とも言われ、聖域になっています。開山堂は明恵上人坐像(重要文化財)を安置しています。なお開山堂では例年1月19日に明恵上人命日忌法要が行われています。
  • 歴史:開山堂は1723年(享保8年)に再建されました。ちなみに開山堂は明恵上人が住した禅堂院(ぜんどういん)として建立され、その後御影堂(みえいどう)として信仰されていたが、1547年(天文16年)に兵火によって焼失しました。その後1636年(寛永13年)に秀融・永弁らが再建したが、1717年(享保2年)に焼失しました。
  • 様式:開山堂は宝形造(ほうぎょうづくり)の本瓦葺(ほんがわらぶき)です。

【明恵上人700年遠忌記念として建てられた茶室・遺香庵の解説】

  • 概要:茶室・遺香庵(いこうあん)は通常非公開だが、紅葉シーズンに特別公開される場合があります。
  • 歴史:遺香庵は1931年(昭和6年)に明恵上人700年遠忌記念として、茶道家の懇志によって建てられました。発起人は古美術商の土橋嘉兵衛(ちはしかへえ)・実業家の高橋箒庵(たかはしそうあん)らです。茶室の設計は第3代・木村清兵衛(きむらせいべい)、茶庭・遺香庵庭園の作庭は第7代・小川治兵衛(おがわじへえ)です。

【宝篋印塔(重要文化財)・如法経塔(重要文化財)の解説】

  • 概要:宝篋印塔(ほうきょういんとう)・如法経塔は開山堂近くに建立されています。宝篋印塔は高さ約3.2メートル、如法経塔は高さ約1.4メートルです。
  • 歴史:宝篋印塔・如法経塔は鎌倉時代後期(1275年~1332年)に建立されました。宝篋印塔は明恵上人に帰依した富小路盛兼(とみのこうじもりかね)が寄進したと言われています。

【木彫りの狗児などの仏像・木像の解説】

  • 概要:仏像・木像にはいずれも重要文化財である乾漆薬師如来坐像(奈良時代(710年~794年))・明恵上人坐像・白光神立像(鎌倉時代(1185年~1333年))・善妙神立像(鎌倉時代)・木彫りの狗児(鎌倉時代)・狛犬3対(鎌倉時代)・神鹿1対(鎌倉時代)などがあります。
  • 木彫りの狗児(えのころ・くじ)は像高約25.5センチの子犬の置物(狛犬)です。木彫りの狗児は鎌倉時代の慶派仏師である伝・湛慶(たんけい)作で、明恵上人遺愛の犬とも言われています。明恵上人は小動物を愛し、子犬をまたいだ後に立ち返って拝んだり、夢に子犬が現れたという逸話が残されています。

【日本最古の茶園を起源とする茶園の解説】

  • 概要:茶園はかつて中心的僧房・十無尽院(じゅうむじんいん)があった場所にあります。かつての茶園は清滝川の対岸・深瀬(ふかいぜ)三本木にあり、日本最古の茶園とも言われていました。お茶の種は臨済宗(りんざいしゅう)の開祖・明菴栄西(みょうあんえいさい)が南宋(中国)から持ち帰り、明恵上人に贈ったとも言われています。
  • 豆知識:室町時代(1336年~1573年)の闘茶(とうちゃ)では栂尾の茶を「本茶」、その他の茶を「非茶」と呼んでいたそうです。

【京都を代表する紅葉の解説】

  • 概要:高山寺は京都を代表する紅葉名所で、紅葉シーズンには紅葉に彩られた美しい情景を眺めることができます。紅葉は例年11月中旬に見ごろを迎えます。紅葉シーズンには入山料が必要になります。また駐車場も11月に有料になります。(要確認)
  • 豆知識:栂尾山高山寺(栂ノ尾)はいずれも紅葉名所である高雄山神護寺(高雄・高尾)・槇尾山西明寺(槇ノ尾)とともに三尾(さんび)の名刹と言われていす。

【高山寺の本坊だった神護寺の解説】

  • 概要:神護寺はかつて平安時代(794年~1185年)後期に本坊だったと言われています。
  • 歴史:神護寺は824年(天長元年)に和気清麻呂(わけのきよまろ)の五男・真綱(まつな)と六男・仲世(なかよ)の要請により、いずれも和気氏の私寺であった神願寺と高雄山寺が合寺し、名称を神護国祚真言寺(じんごこくそしんごんじ)と改めたのが起源です。

【高山寺の見どころ 備考(参考リンク・・・)】
*参考・・・高山寺(見どころ・アクセス・・・)ホームページ

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