千本鳥居(起源・本数・形式・色彩・・・)伏見稲荷大社見どころ
千本鳥居(起源・本数・形式・色彩・・・)
千本鳥居を解説します。千本鳥居は鳥居の数が千本よりも少ない、約900基弱(約860基)とも言われています。伏見稲荷大社での鳥居の奉納は「願い事が通る」、または「願いが通った御礼」という意味から江戸時代後期以降に始まったと言われています。(詳細下記参照)
【千本鳥居の概要・概略】
- 概要・概略:千本鳥居(せんぼんとりい)は本殿から奥社奉拝所(奥の院) に向う参道にあります。千本鳥居は現世から神の坐す幽界への関門として建てられたとも言われています。千本鳥居は長さ約70メートルです。
- 左右:千本鳥居は左右に分かれているが、その理由は明確ではありません。密教の金剛界(こんごうかい)・胎蔵界(たいぞうかい)の中に神道を組み入れた両部思想(りょうぶしそう)による金胎二界(金胎二部・金胎両部)を表したものではないかとも言われているそうです。ちなみに金剛界は智という精神的な世界、胎蔵界は理という物理的な世界だそうです。
【千本鳥居の奉納の起源】
- 奉納の起源:千本鳥居などの鳥居の奉納は「願い事が通る」、または「願いが通った御礼」という意味から江戸時代以降に盛んになりました。なお伏見稲荷大社では古くから朝廷が雨乞い・五穀豊穣・国の安穏などを祈願した記録が残されています。
- 時代:鳥居の奉納が盛んになったのは江戸時代以降の近代です。安土桃山時代に描かれた「伏見稲荷大社絵図」には表参道・裏参道に鳥居が各1基ずつ描かれ、江戸時代後期の1780年(安永9年)に描かれた「都名所図会(みやこめいしょずえ)」には鳥居群が描かれています。
【千本鳥居の本数・基数】
- 本数・基数:千本鳥居の鳥居の数は千本よりも少ない、約900基弱(約860基)とも言われています。
- 全本数:伏見稲荷大社には千本鳥居を含め、約1万基の鳥居があると言われ、伏見稲荷大社のホームページでは「現在は約1万基の鳥居がお山の参道全体に並んで立っています。」と記されています。ただ千本鳥居の鳥居の数は具体的には記されていないようです。
【千本鳥居の形式・色彩】
- 形式:千本鳥居などの鳥居は稲荷鳥居(台輪鳥居(だいわとりい))という形式です。鳥居は柱と笠木(かさぎ)の接合部に台輪が取り付けられています。鳥居には神明鳥居(しんめいとりい)・鹿島鳥居(かしまとりい)・春日鳥居(かすがとりい)・八幡鳥居(はちまんとりい)などの形式があります。
- 色彩:千本鳥居などの鳥居の朱塗りは稲荷塗り(稲荷朱)と言われ、稲荷大神が楓(かえで)を好んだことに由来するとも、破邪の呪力を示すものとも言われています。また赤土の持つ生命力を表しているとも言われています。
- 朱色:鳥居の朱の原材料は水銀(丹)で、昔から木材の防腐剤として使われているそうです。
- 稲荷大神:稲荷大神は下社の宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)、中社の佐田彦大神(さたひこのおおかみ)、上社の大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)、下社摂社の田中大神(たなかのおおかみ)、中社摂社の四大神(しのおおかみ)の総称です。稲荷大神は奈良時代初期の711年(和銅4年)2月の初午(はつうま)の日に初めて標高約233メートルの稲荷山に鎮座したとされています。
【千本鳥居のご利益・霊験】
- ご利益・霊験:千本鳥居は願い事が叶うようにと祈願しながら通るといいと言われています。
- 稲荷神:伏見稲荷大社に祀られている稲荷神は農業の神で、五穀豊穰・商売繁盛・交通安全といったご利益があるとも言われています。
【千本鳥居の一般奉納】
- 一般奉納:千本鳥居などの鳥居の奉納は社務所(管理課)や稲荷山神蹟の茶店からできるそうです。鳥居の金額は鳥居の大きさ・場所によって異なります。
- 価格:価格は210,000円から1,600,000円です。(要確認)5号は210,000円、6号は465,000円、7号は585,000円、8号は855,000円、9号は1,000,000円、10号は1,600,000円です。
- 業者:鳥居は平安時代から千年、25代続く伏見稲荷大社御用達・長谷川工務店が木の選別から設置までを一貫して行っているそうです。なお長谷川工務店では鳥居を長持ちさせる為、土に埋まる部分を焼いて炭化させ、防虫・防腐の効果を高めているそうです。
【千本鳥居の素材・材木】
- 素材・材木:千本鳥居には伏見稲荷大社のご神木とされている杉を材木市場から調達するそうです。杉はゆっくりと成長した年輪の幅が狭いもの厳選して選び、しっかり乾燥させたものを使います。乾燥が十分でないと長持ちしないそうです。
【千本鳥居と外国人観光客】
- 外国人観光客:千本鳥居が続く光景が日本的で、また伏見稲荷大社は拝観料が必要ないこともあり、外国人観光客に大変人気があります。トリップアドバイザー(旅行口コミサイト)が行った日本の観光スポット人気ランキング2015では伏見稲荷大社が2014年(平成26年)に続き、2年連続の第1位を獲得したそうです。
- 豆知識:外国人観光客を含め、初詣には例年200万人以上が訪れます。
【千本鳥居 備考】
*参考・・・伏見稲荷大社(見どころ・歴史・千本鳥居・・・)ホームページ