宇多上皇(第59代・宇多天皇(うだてんのう))と嵐山
宇多上皇(第59代・宇多天皇)と嵐山
嵐山は古来から山水の美を兼ねた景勝地で、平安時代以降に和歌に詠まれたり、大堰川で船遊びが行われたり、山荘などが営まれたりしました。898年(昌泰元年)に宇多上皇(第59代・宇多天皇)が嵐山を流れる大堰川で船遊びを楽しみ、三船祭の由来にもなっています。
【嵐山 歴史・簡単概要】
嵐山は一級河川・桂川(大堰川)に架けられて渡月橋の西側、京都市西京区に位置する標高約382メートルの山です。嵐山は古くから景勝地で、平安時代(794年~1185年)以降に紅葉名所として知られるようになり、皇族・貴族らが訪れ、付近に離宮・山荘などが営まれるようになりました。また嵐山では後嵯峨上皇(第88代・後嵯峨天皇)が奈良・吉野山から桜の木を移植すると桜名所にもなりました。嵐山は「日本さくら名所100選」・「日本の紅葉の名所100選」に選ばれています。また嵐山は国の史跡・国の名勝にも指定されています。なお嵐山・嵯峨野には桂川(大堰川)が流れて渡月橋が架けられ、世界遺産である天龍寺・二尊院・常寂光寺・化野念仏寺・虚空蔵法輪寺などの寺社が点在し、竹林の道(竹林の小径)などがあり、京都随一の観光地になっています。
嵐山桜見ごろ・嵐山紅葉見ごろ
【宇多上皇(第59代・宇多天皇(うだてんのう))】
嵐山は古来から山水の美を兼ねた景勝地で、平安時代(794年~1185年)以降に和歌に詠まれたり、大堰川(おおいがわ・桂川)で船遊びが行われたり、山荘などが営まれたりしました。平安時代前期の898年(昌泰元年)9月21日に宇多上皇(第59代・宇多天皇(うだてんのう))が嵐山を流れる大堰川(おおいがわ)で船遊びを楽しみ、三船祭(みふねまつり)の由来にもなっています。宇多上皇は899年(昌泰2年)に出家し、初めて「法皇(太上法皇)」と称し、世界遺産である仁和寺(にんなじ)第1世になったが、和歌や音楽を好み、琵琶の名手として知られた風流人でもありました。宇多法皇は勅撰和歌集「古今和歌集(こきんわかしゅう)」を撰進したり、寛平御時菊合・寛平御時后宮歌合などの歌合・詩宴・船遊びなどを主催しました。ちなみに仁和寺は宇多天皇を流祖とする華道「御室流(おむろりゅう)」の家元になっています。宇多法皇は911年(延喜11年)6月15日に亭子院(ていじのいん)の水閣を開いた際、酒豪を選んで宴に招き、その酒量を競わせ、亭子院酒合戦と言われています。また913年(延喜13年)3月13日に亭子院で大掛かりな歌合「亭子院歌合」を主催し、国風文化に影響を与えたと言われています。なお宇多法皇は水無月に雪見をする為に峰に白絹を掛けて雪景色を作り出したという故事から「衣笠山」の名称の由来になったと言われています。金閣寺・龍安寺・仁和寺を結ぶ道は「きぬかけの路」とも言われています。
三船祭は898年(昌泰元年)に宇多上皇(第59代・宇多天皇)が大堰川で行った船遊びに由来しています。三船祭の名称は72代・白河天皇が嵐山に行幸した際、和歌・漢詩・奏楽に長じた者を三隻の船に乗せ、船遊びしたことに由来します。なお三船祭は車折神社の例祭の延長神事・昭和御大典を記念し、1928年(昭和3年)から始まりました。三船祭は例年5月の第3日曜日に行われています。
●第59代・宇多天皇は867年(貞観9年)6月10日に第58代・光孝天皇と皇太后・班子女王の間に生まれました。父は不祥事で退位させられた第57代・陽成天皇の大叔父にあたり、皇位が嫡流の陽成天皇の弟・貞保親王に戻ることなどを考え、臣籍降下させられて、源定省と称しました。887年(仁和3年)に父が重態になると関白・藤原基経の推挙により、親王に復して立太子され、父が崩御すると第59代・宇多天皇に即位しました。即位後に藤原基経が政務を拒んで自邸に引き籠る阿衡事件が起こったが、891年(寛平3年)に藤原基経が亡くなると関白を置かずに親政を開始し、菅原道真らを重用し、寛平の治と言われました。遣唐使が停止され、「日本三代実録」・「類聚国史」が編纂され、官庁が統廃合されました。897年(寛平9年)に皇太子・敦仁親王に譲位して第60代・醍醐天皇が即位しました。13歳の醍醐天皇に与えた訓誡は「寛平御遺誡」として知られています。899年(昌泰2年)に出家して法皇になり、仁和寺に入って「御室の仁和寺」と言われました。その後高野山・比叡山・熊野三山などを参詣しました。901年(昌泰4年)に菅原道真が大宰府に左遷された際に内裏に押し掛けて座り込んで抗議し、醍醐天皇と対立しました。宇多天皇は和歌などを好む風流人で、しばしば詩宴を催し、913年(延喜13年)の「亭子院歌合」がよく知られています。宇多天皇は日記を記し、「宇多天皇日記」は天皇の日記として初例です。なお第59代・宇多天皇は931年(承平元年)9月3日に崩御しました。
【宇多上皇(第59代・宇多天皇)と嵐山】
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