長刀鉾稚児とは神のお使い、禿は家来役・祇園祭2024

稚児舞披露

長刀鉾稚児・禿

長刀鉾稚児とは神のお使い、禿は家来役です。長刀鉾稚児・禿は例年6月上旬に発表され、八坂神社訪問・衣装合わせ・京都市長表敬訪問・結納の儀・理髪の儀・長刀鉾町お千度・囃子方初顔合わせ・乗馬練習・稚児舞稽古・清祓の儀などの行事をこなします。(祇園祭長刀鉾稚児の費用・選び方・家柄などは掲載しておりません。)

★祇園祭2024は最新情報。

【祇園祭 日程】

祇園祭は7月1日の吉符入(きっぷいり) から7月31日の疫神社(えきじんじゃ)の夏越祭(なごしさい)までの7月1ヶ月に渡って行われます。
●祇園祭の主要行事の日程を確認できます。(下記リンク参照)
祇園祭2024日程一覧(宵山屋台・山鉾巡行・・・)

【長刀鉾(なぎなたほこ)】

長刀鉾(なぎなたほこ)は鉾頭に疫病邪悪(えきびょうじゃあく)を祓う大長刀(おおなぎなた)を付けていることに由来しています。鉾頭にはかつて三条小鍛冶宗近(さんじょうこかじむねちか)が造った長刀、戦国時代(室町時代後期)の1522年(大永2年)に三条長吉が造った長刀、江戸時代前期の1675年(延宝3年)に和泉守来金道が造った長刀が使われていたが、現在は竹に錫箔を張ったレプリカが使われています。なお長刀は刃先が御所・八坂神社には向かないように南向きに取り付けられています。
長刀鉾(ちまき販売・ご利益・マップ・・・)

【長刀鉾稚児・禿 簡単概要】

稚児(ちご)は生身の人間である唯一の生稚児(いきちご)です。稚児(お稚児さん)は祇園祭山鉾巡行(前祭)に先立って、7月13日に長刀鉾稚児社参(お位もらい)を行い、正五位少将・十万石大名の位を授かり、神の使いとされます。稚児は祇園祭山鉾巡行中(前祭)に稚児舞(太平の舞)によってコースを清め祓ったり、注連縄切り(しめなわきり)で神域との結界を開放したりします。
祇園祭長刀鉾稚児(歴代稚児・・・)

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【発表-稚児・禿】

6月上旬頃に稚児1人・禿(かむろ)2人が関係者(長刀鉾役員・稚児家・禿家など)臨席のもとでメディアに発表されます。インタビューが行われ、抱負などを語ります。なお稚児・禿はかつて長刀鉾町内から10歳前後の男子が選ばれていたが、最近は京都市内から選ばれているそうです。
祇園祭長刀鉾稚児禿発表

【八坂神社訪問-稚児・禿】

稚児・稚児家・長刀鉾役員らが祇園祭を行う八坂神社を訪問し、今後の打ち合わせを行います。

【衣装合わせ-稚児・禿】

稚児・禿が祇園祭の各行事で着用する衣装合わせが行われ、稚児係が丁寧に着付けます。2011年(平成23年)に稚児の衣装が約40年振りに新調されました。なお2011年(平成23年)には稚児が被る江戸時代後期の1817年(文化14年)制作のクジャクの羽を飾った蝶とんぼ(ちょうとんぼ・蝶蜻蛉)の冠が復元され、稚児が胸に抱く鞨鼓(かっこ)も新調されました。

【京都市長表敬訪問-稚児・禿】

稚児・禿・長刀鉾役員らが京都市役所を訪問し、市長に稚児・禿を務めることを報告します。市長は稚児・禿を激励します。

【結納の儀-稚児・禿】

6月の大安の日に稚児家に八坂神社の祭神で、祇園祭の起源となった祇園牛頭天皇(ぎおんごずてんのう・素戔嗚尊(すさのおのみこと))の軸を掛けた祭壇(さいだん)を設け、八坂神社の神職を迎えて、稚児家・禿家・長刀鉾役員が養子縁組を結んで長刀鉾町の子供になります。長刀鉾町からは結納金・扇子などの結納品が渡され、八坂神社の御神紋を象った紅白の菓子を食べながら懇談が行われます。なお稚児家では穢れないように清祓の儀(きよはらいのぎ)が行われ、稚児家の当主は毎朝祭壇にお供えを欠かさないよう務めます。
稚児は女人禁制のしきたりに従い、男性が世話一切を行います。稚児の食事は母親などの女性が用意することは許されず、父親が他の人とは別の火を使って用意します。稚児は食事中に女性と同席することもできません。

【理髪の儀-稚児・禿】

6月30日に稚児・禿は7月1日の長刀鉾町お千度に先立って、髪の毛を前髪が眉上3センチに切り揃えられ、襟足(うなじ)を「うろこ」と言われる三角形に剃り上げます。「うろこ」には魔除けの意味があり、首筋を美しく見せるとも言われています。なお理髪の儀は7月5日の吉符入(稚児舞披露)・7月12日の長刀鉾曳き初め・7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)の前日にも行われます。

【長刀鉾町お千度-稚児・禿】

7月1日に稚児・禿・長刀鉾役員らが八坂神社を訪問し、稚児・禿に選ばれたことを報告し、神事(祇園祭)の無事を祈願します。稚児・禿とは素手で手をつなぐことが許されず、長刀鉾役員は白い布越しに手をつなぎます。なお稚児・禿は化粧方(顔師)によって白塗りの化粧が施されます。化粧は7月5日の吉符入(稚児舞披露)・7月12日の長刀鉾曳き初め・7月13日の長刀鉾稚児社参・7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)でも行われます。
祇園祭長刀鉾町お千度

【囃子方初顔合わせ-稚児・禿】

7月1日に稚児家・禿家と囃子方が初顔合わせを行い、囃子方がお祝いを込めて祇園囃子(コンチキチン)を披露します。稚児・禿は長刀鉾の浴衣に身を包みます。

【乗馬練習-稚児・禿】

稚児が7月13日の長刀鉾稚児社参に先立って、八坂神社の参道で乗馬の練習をします。

【稚児舞稽古-稚児・禿】

稚児・禿が7月5日の吉符入(稚児舞披露)・7月12日の長刀鉾曳き初め・7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)に先立って、稚児係の指導で稚児舞(太平の舞)の練習をします。稚児舞では稚児の足は父親などが支え、稚児係が後ろからサポートします。

【吉符入-稚児・禿】

7月5日に祇園祭に関する打合せが行われます。稚児・禿が長刀鉾町の人々に紹介され、神のお使いとして奉仕する事を神前に伝えるます。稚児・禿の名簿が吉符として神前に納められます。

【長刀鉾稚児舞披露-稚児・禿】

7月5日に稚児・禿が長刀鉾町の会所二階で稚児舞(太平の舞)を披露します。稚児は白塗りにクジャクの羽を飾った蝶とんぼの冠を被り、青海波に鶴模様の藤紫色の振り袖と薄緑紗の肩衣袴を着用し、両手に握ったバチを交差させ、体を大きく、優雅に旋回させて胸に抱いた鞨鼓(かっこ)を叩きます。
祇園祭長刀鉾稚児舞披露

【禿家訪問-稚児・禿】

稚児が禿家を訪問し、禿家が暖かく出迎えます。

【清祓の儀-稚児・禿】

7月10日に長刀鉾町の会所に八坂神社の神職を招き、行事(祇園祭)の無事を祈願し、稚児・禿の衣装など会所の全てを祓い清めます。稚児・禿・長刀鉾役員らの肩に三条小鍛冶宗近(さんじょうこかじむねちか)が打った大長刀で摩って魔除けを行います。

【長刀鉾曳き初め-稚児・禿】

7月12日に長刀鉾曳き初めが7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)に先立って行われます。長刀鉾曳き初めでは本番さながらに祇園囃子が奏でられ、2人の音頭方による「エンヤラヤー」の掛け声とともに参加者がひき綱を曳き、稚児による稚児舞(太平の舞)が披露されます。ひき綱を曳くと厄除けになるとも言われています。長刀鉾は女人禁制で女性が搭乗することはできないが、女性でも、子供でもひき綱を曳くことができます。
祇園祭長刀鉾曳き初め

【長刀鉾稚児社参-稚児・禿】

7月13日に稚児が7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)に先立って八坂神社を訪れ、正五位少将・十万石大名の位を授かります。稚児は社参後から神のお使いとされ、公の場では地上を一歩も歩かず、男性強力(ごうりき)の肩に担がれて移動します。稚児は蝶とんぼの冠と金烏帽子を身に付けます。稚児は十万石大名の位を授かることから禿は侍烏帽子の冠を付け、お供は武士の家来役として全員裃姿になります。なお稚児は社参後に南楼門近くの二軒茶屋・中村楼に立ち寄り、夏痩せせず、疫病除けのご利益があるとも言われている稚児餅を頂きます。
神の使いになった稚児は食事の際にお膳を火打石で清めてから食べ、父親など男性だけで食事をします。稚児は祭壇がある注連縄の張られた部屋で過ごします。
祇園祭長刀鉾稚児社参

【古式一里塚松飾式-稚児・禿】

7月14日に稚児・禿が松原中之町(松仲会)の町会所・祗園床(ぎおんどこ)を訪れ、祗園床で神事を行い、尾頭付きの鯛や車エビなどの神饌などを供えます。7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)ではかつて松原通を巡行し、稚児は祗園床で休憩して、頓宮(とんぐう)祇園社に参っていたそうです。
祇園祭古式一里塚松飾式

【八坂神社参拝-稚児・禿】

7月14日から16日の祇園祭宵山(前祭)の期間中、稚児・禿が八坂神社を訪れて参拝し、7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)の無事を祈願します。おけら火を頂いて末社を参拝し、長刀鉾町に持ち帰ります。

【注連縄切練習-稚児・禿】

7月16日に稚児が7月17日の祇園祭山鉾巡行(前祭)に先立って、注連縄切りを練習します。注連縄切りは稚児とサポートする稚児係が二人羽織のように斎竹(いみだけ)に張られた注連縄を太刀で切り、神域との結界を開放して山鉾が進んでいきます。

【山鉾巡行(前祭)-稚児・禿】

7月17日に稚児が先頭を巡行する長刀鉾に搭乗し、稚児舞(太平の舞)を舞って祇園祭山鉾巡行(前祭)のコースを清め祓い、疫病の退散を祈願し、四条麩屋町の斎竹(いみだけ)に張られた注連縄(しめなわ)を切り、神域との結界を開放して巡行します。
祇園祭山鉾巡行(前祭)

【お位返しの儀-稚児・禿】

稚児は長刀鉾が新町御池の交差点手前に差し掛かると長刀鉾を降り、八坂神社に向って授かった格式(正五位少将・十万石大名の位)を返し、普通の少年に戻ります。
祇園祭お位返しの儀

【疫神社夏越祭-稚児・禿】

7月31日に稚児・禿は普段の姿で、祇園祭最後の行事である疫神社夏越祭に参加します。疫神社(えきじんじゃ)の鳥居に茅の輪が取り付けられ、護符が授与されます。
祇園祭疫神社夏越祭

【長刀鉾稚児・禿 備考】
*イベントの情報(日程・場所・内容など)は必ず主催者に確認して下さい。当サイトの情報はあくまで参考情報です。イベントの内容などが変更になっている場合もあります。
祇園祭2024日程(ちまき販売・宵山屋台・・・)

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