
祇園祭山鉾・数種類
祇園祭山鉾(数・種類・読み方・・)を紹介しています。山鉾数は前祭23基・後祭11基・休山1基(合計35基)です。山鉾はその形態から鉾・曳山・船鉾・傘鉾・舁山の種類があり、前祭の山鉾(数23基)は鉾6基、曳山1基、船鉾1基、傘鉾2基、舁山13基、後祭の山鉾(数11基)は曳山3基、船鉾1基、舁山7基の種類・数に分類されます。祇園祭山鉾一覧では山鉾の読み方・概要なども紹介しています。山鉾には一つ一つに由来や特徴があります。
【祇園祭山鉾 基礎知識】
祇園祭山鉾巡行は平安時代の999年(長保元年)に雑芸者・無骨(むこつ)が天皇の即位の礼の直後に行う新嘗祭(にいなめさい)・大嘗祭(だいじょうさい)の標山(しめやま)に似た作山を造り、祇園祭に参加したのが起源とも言われています。標山は神を祀る為の山型の造形物で、縁起のよい祥瑞(しようずい)を表す意匠が施されました。その後鎌倉時代に鉾・長刀などで装飾したものが加わり、室町時代には町ごとに趣向を凝らした山鉾が造られたと言われています。ちなみに山鉾巡行の山鉾は粟田神社(あわたじんじゃ)の剣鉾が原型とも言われています。室町時代中期の応仁の乱(1467年(応仁元年)~1477年(文明9年))後、町衆主体の山鉾巡行を中心とした祭りになったと言われています。なお山鉾巡行などの山鉾行事はユネスコの無形文化遺産に登録されています。
【祇園祭山鉾 用語】
●前祭(さきまつり)では7月10日から14日に山鉾23基が組み立てられ、7月17日に山鉾巡行が行われます。後祭(あとまつり)では7月18日から21日に山鉾11基が組み立てられ、7月24日に山鉾巡行が行われます。
●囃子方(はやしかた)は全ての山鉾に存在するのではなく、前祭が長刀鉾・函谷鉾・月鉾・船鉾・鶏鉾・放下鉾・菊水鉾・岩戸山・四条傘鉾・綾傘鉾、後祭が北観音山・南観音山・大船鉾・鷹山に存在し、山鉾巡行中などに祇園囃子(ぎおんばやし)を奏でます。
●くじ取らずは山鉾巡行の順番がくじ取り式に関わらず、決まっている山鉾です。くじ取らずの山鉾は前祭が長刀鉾・函谷鉾・放下鉾・岩戸・船鉾、後祭が橋弁慶山・北観音山・南観音山・大船鉾・鷹山です。
●生稚児(いきちご)は現在長刀鉾だけに存在し、かつて生稚児が存在した山鉾は人形に代わっています。
●辻回しは全ての山鉾が行うのではなく、前祭が長刀鉾・函谷鉾・鶏鉾・菊水鉾・月鉾・放下鉾・岩戸山・船鉾、後祭が北観音山・南観音山・大船鉾・鷹山が行います。
【長刀鉾(読み方:なぎなたほこ) 前祭大型の鉾】
長刀鉾は鉾頭に疫病邪悪を祓う大長刀(おおなぎなた)を付けていることに由来しています。鉾頭にはかつて三条小鍛冶宗近が造った大長刀が付けられていました。
●概要・・・囃子方・くじ取らず・生稚児・辻回し・ご利益(厄除け・疾病除け)
長刀鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【函谷鉾(読み方:かんこほこ) 前祭大型の鉾】
函谷鉾は中国の戦国時代(紀元前403~221年)に斉の孟嘗君(もうしょうくん)が鶏の声により、函谷関(かんこくかん)を脱出できたという故事に由来しています。
●概要・・・囃子方・くじ取らず・辻回し・ご利益(厄除け・疾病除け)
函谷鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【鶏鉾(読み方:にわとりほこ) 前祭大型の鉾】
鶏鉾は中国の堯(ぎょう)の時代に天下がよく治まり、訴訟用の太鼓(諫鼓)に用がなくなり、苔が生えて鶏が宿ったという故事に由来しています。
●概要・・・囃子方・辻回し・ご利益(厄除け・疾病除け)
鶏鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【菊水鉾(読み方:きくすいほこ) 前祭大型の鉾】
菊水鉾は室町時代末期町内に千利休の師である茶人・武野紹鴎(たけのじょうおう)の大黒庵があり、その屋敷にあった菊水井(きくすいい)に由来しています。
●概要・・・囃子方・辻回し・ご利益(不老長寿・商売繁盛)
菊水鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【月鉾(読み方:つきほこ) 前祭大型の鉾】
月鉾は鉾頭に新月型(みかづき)を付けていることに由来しています。月鉾はかつての鉾頭に1573年(元亀4年)の刻銘がありました。
●概要・・・囃子方・辻回し・ご利益(厄除け・疾病除け)
月鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【放下鉾(読み方:ほうかほこ) 前祭大型の鉾】
放下鉾は真木の天王座(てんのうざ)に放下僧の像を祀っていることに由来しています。鉾頭の形から州浜鉾・すはま鉾とも言われています。
●概要・・・囃子方・くじ取らず・辻回し・ご利益(厄除け・疾病除け)
放下鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【岩戸山(読み方:いわとやま) 前祭大型の曳山】
岩戸山は天照大神(あまてらすおおかみ)が天の岩戸(あまのいわと)を開いて現れる日本神話に由来しています。室町時代には車輪がついていたそうです。
●概要・・・囃子方・くじ取らず・辻回し・ご利益(開運)
岩戸山(ちまき販売・ご利益・・・)
【綾傘鉾(読み方:あやがさほこ) 前祭傘鉾】
綾傘鉾は鉾頭が金の鶏と金幣の古い形式の傘鉾です。綾傘鉾は1864年(元治元年)の大火で焼失し、復興・中断を経て1979年(昭和54年)に改めて復興しました。
●概要・・・囃子方・ご利益(縁結び・厄除け)
綾傘鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【四条傘鉾(読み方:しじょうかさほこ) 前祭傘鉾】
四条傘鉾は傘の上に花瓶・赤幣(せきへい)・若松(わかまつ)を飾った応仁の乱以前に起源を持つ古い形式の傘鉾です。1985年(昭和60年)に再興されました。
●概要・・・囃子方・ご利益(招福・厄除け)
四条傘鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【船鉾(読み方:ふねほこ) 前祭大型の船鉾】
船鉾は神功皇后(じんぐうこうごう)の新羅遠征の際の出船に由来しています。船鉾は大船鉾が凱旋の船と言われるのに対し、出陣の船鉾と言われています。
●概要・・・囃子方・くじ取らず・辻回し・ご利益(安産)
船鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【保昌山(読み方:ほうしょうやま) 前祭舁山】
保昌山は和泉式部と和泉式部から紫宸殿の紅梅を手折って欲しいと頼まれた丹後守・平井保昌との恋物語に由来しています。保昌山は花盗人山と言われていました。
●概要・・・ご利益(縁結び)
保昌山(ちまき販売・ご利益・・・)
【孟宗山(読み方:もうそうやま) 前祭舁山】
孟宗山は中国の史話・二十四孝の一人である孟宗が病身の母が欲しがった筍を真冬の雪の中から掘り当てたことに由来しています。孟宗山は筍山とも言われています。
●概要・・・ご利益(親孝行)
孟宗山(ちまき販売・ご利益・・・)
【占出山(読み方:うらでやま) 前祭舁山】
占出山は神功皇后(じんぐうこうごう)の新羅遠征の際、肥前松浦川で鮎を釣って戦勝の兆としたという説話に由来しています。占出山は鮎釣山とも言われています。
●概要・・・ご利益(安産)
占出山(ちまき販売・ご利益・・・)
【山伏山(読み方:やまぶしやま) 前祭舁山】
山伏山は八坂の塔・法観寺(ほうかんじ)の五重塔がかつて傾いた際に法力(ほうりき)によって直した山伏・浄蔵貴所(じょうぞうきしょ)に由来しています。
●概要・・・ご利益(火除け・雷除け)
山伏山(ちまき販売・ご利益・・・)
【霰天神山(読み方:あられてんじんやま) 前祭舁山】
霰天神山は永正年間(1504年~1520年)の大火の際に霰が急に降って大火が鎮火し、その時霰とともに降ってきた天神さまを祀ったことに由来しています。
●概要・・・ご利益(火除け・雷除け)
霰天神山(ちまき販売・ご利益・・・)
【郭巨山(読み方:かっきょやま) 前祭舁山】
郭巨山は中国の史話・二十四孝の一人である郭巨が貧しさから母と子を養うことができず、子を山に埋めようとして土の中から黄金の釜を掘り当てた故事に由来しています。
●概要・・・ご利益(金運・母乳の出を守る)
郭巨山(ちまき販売・ご利益・・・)
【伯牙山(読み方:はくがやま) 前祭舁山】
伯牙山は中国の周時代に琴の名人・伯牙が親友・鍾子期(しょうしき)の訃報に悲しんで、琴の弦を断ったという故事に由来しています。
●概要・・・ご利益(疾病除け・技芸向上)
伯牙山(ちまき販売・ご利益・・・)
【芦刈山(読み方:あしかりやま) 前祭舁山】
芦刈山は故あって妻と離れ、難波の浦で芦を刈る一人の老翁が三年振りに妻との再会を果たした謡曲・芦刈に由来しています。
●概要・・・ご利益(夫婦円満・縁結び)
芦刈山(ちまき販売・ご利益・・・)
【油天神山(読み方:あぶらてんじんやま) 前祭舁山】
油天神山は古くから油小路通にある風早町(かざはやちょう)に祀られていた天神さん(菅原道真)を勧請したことに由来しています。
●概要・・・ご利益(学問成就)
油天神山(ちまき販売・ご利益・・・)
【木賊山(読み方:とくさやま) 前祭舁山】
木賊山は我が子を人にさらわれ、信濃伏屋(ふせや)の里で一人木賊を刈る翁を描いた謡曲・木賊に由来しています。
●概要・・・ご利益(迷子除け・再会)
木賊山(ちまき販売・ご利益・・・)
【太子山(読み方:たいしやま) 前祭舁山】
太子山は聖徳太子を祀っていることに由来しています。太子山では聖徳太子が四天王寺を建立する際に自ら良材を求め、山に入ったことから真木に杉を立てています。
●概要・・・ご利益(知恵授与・身代り)
太子山(ちまき販売・ご利益・・・)
【白楽天山(読み方:はくらくてんやま) 前祭舁山】
白楽天山は唐の詩人・白楽天が道林禅師(どうりんぜんじ)に仏法の大意を問うた説話に由来しています。
●概要・・・ご利益(学問成就・招福除災)
白楽天山(ちまき販売・ご利益・・・)
【蟷螂山(読み方:とうろうやま) 前祭舁山】
蟷螂山は車に惹かれそうなカマキリが鎌を振り上げて立ち向う「蟷螂(とうろう)の斧を以て隆車の隧(わだち)を禦(ふせ)がんと欲す」という中国の故事に由来しています。
●概要・・・ご利益(学問成就・招福除災)
蟷螂山(ちまき販売・ご利益・・・)
【北観音山(読み方:きたかんのんやま) 後祭大型の曳山】
北観音山は山の上には楊柳観音像(ようりゅうかんのんぞう)と韋駄天立像(いだてんりつぞう)を祀っていることに由来しています。
●概要・・・くじ取らず・辻回し
北観音山(ちまき販売・ご利益・・・)
【南観音山(読み方:みなみかんのんやま) 後祭大型の曳山】
南観音山は楊柳観音像(ようりゅうかんのんぞう)と脇侍・善財童子像(ぜんざいどうし)を祀っていることに由来しています。
●概要・・・くじ取らず・辻回し
南観音山(ちまき販売・ご利益・・・)
【大船鉾(読み方:おおふねほこ) 後祭大型の船鉾】
大船鉾は1864年(元治元年)の元治の大火で焼失したが、2014年(平成26年)に150年振りに巡行に復帰しました。大船鉾は凱旋の船と言われています。
●概要・・・くじ取らず・辻回し・ご利益(安産)
大船鉾(ちまき販売・ご利益・・・)
【橋弁慶山(読み方:はしべんけいやま) 後祭舁山】
橋弁慶山は五条橋で牛若丸(源義経)と弁慶の出会った謡曲・橋弁慶に由来しています。橋弁慶山は舁山の中で唯一のくじ取らずです。
●概要・・・くじ取らず
橋弁慶山(ちまき販売・ご利益・・・)
【鯉山(読み方:こいやま) 後祭舁山】
鯉山は中国黄河の難所である龍門の滝を登った鯉は龍になるという故事・登龍門に由来しています。なお鯉山のご神体の鯉は全長1.5メートルです。
●概要・・・ご利益(立身出世・開運・家内安全)
鯉山(ちまき販売・ご利益・・・)
【浄妙山(読み方:じょうみょうやま) 後祭舁山】
浄妙山は1180年(治承4年)の宇治川の合戦(木曽義仲と源義経の戦い)の際の三井寺の僧兵・筒井浄妙(つついじょうみょう)の先陣争いに由来しています。
●概要・・・ご利益(勝ち運)
浄妙山(ちまき販売・ご利益・・・)
【黒主山(読み方:くろぬしやま) 後祭舁山】
黒主山は謡曲・志賀に歌われている平安時代の歌人で、六歌仙の一人である大伴黒主(おおとものくろぬし)に由来しています。
●概要・・・ご利益(盗難除け・疾病除け)
黒主山(ちまき販売・ご利益・・・)
【役行者山(読み方:えんのぎょうじゃやま) 後祭舁山】
役行者山は修験道(しゅげんどう)の開祖である役行者・小角(おづぬ)が一言主神(ひとことぬしのかみ)を使って葛城と大峰の間に石橋を架けたという故事に由来しています。
●概要・・・ご利益(疾病除け・交通安全・安産)
役行者山(ちまき販売・ご利益・・・)
【鈴鹿山(読み方:すずかやま) 後祭舁山】
鈴鹿山は伊勢の鈴鹿山で人々を苦しめた悪鬼を退治した鈴鹿権現(すずかごんげん)・瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)の伝説に由来しています。
●概要・・・ご利益(雷除け・安産・盗難除け)
鈴鹿山(ちまき販売・ご利益・・・)
【八幡山(読み方:はちまんやま) 後祭舁山】
八幡山は町内に祀られていた八幡宮を勧請したことに由来しています。なお祇園祭以外の期間は八幡宮を町会所の庭で祀っているそうです。
●概要・・・ご利益(夜泣き封じ・夫婦円満)
八幡山(ちまき販売・ご利益・・・)
【鷹山(読み方:たかやま) 後祭大型の曳山】
鷹山(たかやま)はかつてお囃子を伴う大型の曳山だったが、1826年(文政9年)の大雨や1864年(元治元年)の大火により、現在休山(休み山)になっています。
●概要・・・くじ取らず・辻回し(2022年以降)
鷹山(ちまき販売・ご利益・・・)
【布袋山(読み方:ほていやま) 休山】
布袋山は宝暦年間(1751~1764年)から巡行に不参加で、1788年(天明8年)の大火では布袋尊と童子を残して焼失し、現在休山(休み山)になっています。
布袋山(ちまき販売・ご利益・・・)
【祇園祭山鉾 備考】
祇園祭2023日程一覧(宵山屋台・山鉾巡行・・・)